イタリア料理というとパスタのイメージが強いですが、じつはヨーロッパ有数のお米の生産国でもあるイタリア。特に北イタリアのポー川流域の平地が多いエリアは米の一大産地で、ロンバルディア州を中心にお米が栽培されています。
日本で栽培されているのは粒が小さく丸みのあるジャポニカ種と呼ばれるお米で、イタリアでも主にジャポニカ種が栽培されていますが、日本とは違って粒の大きさによって種類があり、使う人の好みや特性に合わせて使い分けられています。
左が日本のお米、右がイタリアのお米(Carnaroli(カルナローリ))。イタリアのお米のほうが粒が大きく、全体的に白っぽいです。
主な米の分類 ※粒の小さいものから順
分類 | 調理時間 | 主な料理法 |
Comune (Originario) | 12~13分 | 粒が一番小さい。粘りが強く日本の米に比較的近い。スープ、菓子に使う。 |
Semifino | 13~15分 | 時間をかけて煮込むスープ、ティンバッロ(丸い型に詰めてオーブンで焼いた料理)に使う。 |
Fino | 14~16分 | 野菜の詰め物や茹でて付け合わせに使う。 |
Superfino | 16~18分 | 粒が一番大きい。粘り気が最も少ない。リゾットに使う。 |
日本では分量の水とあわせて炊いて、主食としてそのまま食べることが一般的ですが、イタリアではリゾットのように油脂で炒めてからブイヨンで煮る、スープに加えて具として食べる、茹でたものをドレッシングと和えてサラダにする、野菜のオーブン焼きの詰め物にする、といったように様々な形で使われていて、主食というよりどちらかというと野菜のような位置づけで調理されることが多いのが特徴です。
世界的にみると、実は日本のような炊き方(炊き干し法)は珍しくて、多くの地域では茹でて水を切って蒸らす湯取り法が主流。こういった扱い方の違いから、様々な食べ方をするようになったのかもしれませんね。
そんないくつかあるイタリアの米料理の中でも、日本で最もポピュラーなのが、リゾット。
リゾットに使われるのは、分類の中で一番粒が大きく粘りの少ない「Superfino(スペルフィーノ)」。日本で手に入るものではCarnaroli(カルナローリ)という銘柄が有名です。
こちらは石川県のたけもと農場さんで作られている国産のカルナローリです。輸入のイメージがありましたが、調べてみると今は国産のものも結構あるみたいです。
ほかの米料理と違って、リゾットだけはパスタのように芯の残った「al dente(アルデンテ)」に仕上げるのがお約束。そのために水を吸いやすい新米ではなく、硬化した少し古いお米が好んで使われます。中には熟成したお米なんていうものもあって、新米を楽しみにしている日本ではちょっと考えられませんが、食べ方が違うとお米の扱いもだいぶ変わるものですね。
リゾットは12月のフレンチ基礎レッスンでもご紹介しています。
今回はイタリアの米事情とリゾット用のお米についてのお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
※参考資料:プロのためのわかりやすいイタリア料理(柴田書店)