コラム Column

【レシピ動画あり】幸運を願うクレープの日~Chandeleur(シャンドルール)

今回ご紹介するクレープの起源は、ブルターニュ地方のそば粉のガレットといわれています。
この地方は土地がやせていたため、小麦の代わりにそばが栽培されており、そば粥、そばがきなどとともにガレット※1が食べられていました。

※1:ガレットの名前はフランス語で「小石」を意味する「galet (ガレ)」からきています。


ルイ13世の妻アンヌ王妃がブルターニュを訪れた際、ガレットを気に入り宮廷料理に取り入れました。のちに薄力粉を使ったガレットが生まれ、焼き目が生地のちりめんに似ていることから、ちりめんを意味する「Crêpe(クレープ)」と呼ばれるようになりました。

2月2日は「Chandeleur(シャンドルール)」という祝日で、キリストが生まれて40日間無事過ごすことができたことをマリアが神に感謝した日。フランスではこの日にクレープを焼いて家族の幸せを祈るという習慣があります。

クレープの面を返すとき、左手に金貨、右手にフライパンの柄を握り、うまく返すことができればその年はお金に困らないとか、幸せが訪れるなどのうれしい言い伝えがあります。

もともとこの日はカトリックの「La Purification de la Vierge」という祝日。教会では信者がろうそくに火をともして、行列をつくる儀式が行われるので「Chandeleur(聖燭祭)」と呼ばれていました。現在では宗教色が薄れ、今回お話したクレープを焼く習慣が残っています。


3月のフレンチ基礎レッスンでは、このクレープを使った「Crêpes suzette(クレープ・シュゼット)」をご紹介しています。

フランス・モナコ のレストラン「カフェ・ドゥ・パリ」のシェフだったアンリ・シャルパンティエが、食事に訪れたイギリスの皇太子のために考案し、皇太子と同席していた令嬢の名前が「シュゼット」だったことから「Crepes suzette(シュゼット嬢のクレープ)」と名づけられたという逸話のあるデザート。

オレンジを使った甘苦いソースをたっぷり含んだクレープとバニラアイスの相性は抜群です。

|【動画】クレープの作り方

※お料理用、お菓子用の材料をご案内していますが、作り方はどちらも同じです。




今回はフランス ブルターニュ地方の名物のガレットとクレープのお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

このコラムへのお問い合わせはこちらから。

このコラムが「よかった!」「ためになった!」と思ったらシェア

同じカテゴリのコラム
フランス
ピンチから生まれたデザート~Tarte Tatin(タルトタタン)
寒さが増して、おいしいりんごが出回るようになると食べたくなるのがTarte Ta...
国が変わればお米も変わる~イタリアのお米と日本のお米の違い
イタリア料理というとパスタのイメージが強いですが、じつはヨーロッパ有数のお米の生...
フランス
王様のガレット~Galette des rois(ガレット・デ・ロワ)
『Galette des rois(ガレット・デ・ロワ)』は、1月6日のキリスト...
フランス
lentille(レンズ豆)
レンズ豆は日本だとあまりなじみがありませんが、フランスをはじめ中東、インド、アメ...
フランス
フランス料理用語 ciseler(シズレ)とhacher(アッシェ)
日本では「みじん切り」というと、大きさ、切り方問わず「みじん切り」といいますが、...
フランス
フランス料理用語 mignonnette(ミニョネット)
mignonnette(ミニョネット)粒こしょうを粗く砕いたもの。こしょう挽きで...
フランス
【フレンチ】Loiseau de France(飯田橋日仏学院内)
先日のお昼、今年の6月に飯田橋の日仏学院内にオープンしたレストラン『Loisea...
モチモチ食感がたまらない庶民のパスタ、Gnocchi(ニョッキ)
ロングパスタやショートパスタの陰に隠れてあまり目立たない存在のニョッキですが、個...
フランス
フランス料理用語 Poêler(ポワレ)とSauter(ソテー)
フランス料理のお店に行くとよく目にするこの2つの言葉。どちらも「焼く」ことを指し...