『Galette des rois(ガレット・デ・ロワ)』は、1月6日のキリスト教の祝日「Épiphanie(エピファニー)」に食べられるお菓子。
この日はイエスの顕現を祝うため東方の三博士がベツレヘムを訪れた日と言われていて、博士は賢人であり王様であることから『王様のガレット(Galette des rois)』と呼ばれています。
クレーム・ダマンド※1にフェーヴ※2と呼ばれる小さなモチーフを忍ばせてパート・フュイテ※3で挟み、表面に模様を入れて焼き上げたシンプルなお菓子で、表面の模様は4種類あり、それぞれ月桂樹(葉っぱ)=勝利、太陽(渦巻)=生命力、麦の穂(矢羽根)=豊穣、ひまわり(格子)=栄光を意味します。
最近時期になると、有名パティスリーのガレット・デ・ロワの特集を見かけますが、デコレーションのないこのお菓子を華やかにする模様はお店の個性や技術の見せ所ですね。
ガレット・デ・ロワを食べるときの楽しみは、フェーヴの入ったピースを誰が食べるか。
フェーヴに当たった人は、その日の「王様」、「王妃様」として祝福され、1年を幸せに過ごすことができると言われています。
フェーヴにはもともと金貨や空豆が使われていましたが、19世紀に陶磁器が流行した頃から陶器のフェーヴが作られるようになりました。
モチーフも現在では宗教色が薄れ、時代を反映するものやデザイン性の高いものが増えてきています。
小さくてとてもかわいいので、気に入ったものを見つけるとつい購入してしまうのですが、今年は陶器の動物シリーズ(猫・うさぎ・にわとり)を買い足してしまいました。
ちなみに、ガレット・デ・ロワによく似たお菓子に『Pithiviers(ピティビエ)』がありますが、こちらはオルレアネ地方ロワレ県の町の名前を冠した地方菓子の一つ。
アーモンドクリームとパイ生地を使う点は同じですが、表面の模様は伝統的に車輪を模していて、一番の違いはフェーヴが入っていないことです。
素朴な味わいですが、この季節になると無性に食べたくなるお菓子です。
今回は新年を祝うフランスのお菓子『Galette des rois(ガレット・デ・ロワ)』のお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
※1:Crème d’amande。バター、粉砂糖、卵、アーモンドパウダーを混ぜ合わせたクリーム。
※2:fève。空豆のこと。胎児の形に似ていることから、命のシンボルとされていた。
※3:Pate feuilletée。パイ生地。