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料理から見るフランスの地方② Provence(プロヴァンス)

東はイタリアと国境を接し、西はローヌ川で区切られ、アルプスの前山地帯を背景に南の地中海に張り出している。地中海に面する海岸線は複雑に入り組んでいて、カランク(calanque)と呼ばれるプロヴァンス地方の地中海沿岸に見られる切り立った岩に囲まれた入江は景勝地として観光スポットとなっている。時折「ミストラル(mistral)」と呼ばれる強風が吹くため、防風林が植えられている。

カランク(calanque)

マルセイユの南東からイタリア国境までの海岸一帯は紺碧の海岸「コート・ダジュール(Cote d’Azur)」と呼ばれ、避暑や避寒地として人気。夏になるとニースやカンヌには世界中から観光客が訪れる。

ニースの街並み

ニースを象徴する「Le Negresco(ホテルネグレスコ)」


紀元前600年にギリシア人が開いた港町で、古くからギリシア、ローマ文明の影響を受け、文化的に最も早熟な地方だった。いたる所に残る古代ローマ時代の遺跡はこの地方の歴史の深さを感じさせる。

プロヴァンスという呼び名は、古代ローマの属州プロヴィンキア(ローマの言葉で地方を意味する)に由来する。歴史的にローマ、ギリシア、トルコに統治されていたことから、料理にもその名残が色濃い。


【特産物】
ブドウ栽培はフランス最古の歴史を誇り、ロゼワインの生産量が多くレストランでは夏に氷を入れて飲まれている風景をよく見かける。
豊富に採れるオリーブから作られるオリーブオイルは、料理だけでなく菓子にも使われ、特にニヨンス(Nyons)産のオリーブオイルとブラックオリーブはA.O.Cを持つ。
このほかアーティチョークやズッキーニ、なす、ピーマンなどの野菜や香草も豊富に採れ、南仏料理を特徴づける。西端のカマルグの湿地帯で稲作が行われている。また、シストロンの乳飲み子羊は品質の高さで知られ、カマルグ地方の雄牛はA.O.Cを持つ。
地中海で獲れる豊富な海の幸もこの地方の料理彩る食材です。


【代表的な料理】
Bouillabaisse(ブイヤベース)
もとは売りに出せない魚で作る漁師料理。出来上がったブイヤベースは、まずはスープを味わい、次に魚介を食べる。薬味のアイヨリやガーリックトーストともに海の幸を堪能できる料理。

Ratatouille(ラタトゥイユ)
トマト、なす、ズッキーニなどの野菜の煮込み

Salade niçoise(ニース風サラダ)
ニースの伝統的なサラダ。本来のニース風サラダはすべて生の野菜を用い、ソースに酢は使わず、トマトは4つ切りにするなどいくつかの条件があるともいわれている。

Aioli(アイヨリ)
プロヴァンス語でにんにくを指す「ail」、油を指す「oil」からなる言葉。今では卵黄、オリーブオイルを使ったにんにく入りのマヨネーズのような作り方が普通ですが、昔はにんにくの香りを生かすために卵黄入れず、乳鉢ににんにくを入れて乳棒(ピロン)でつきつぶして作っていた。

Rouille(ルイユ)
出来上がりの色からプロバンス語で赤錆を指す「rouio」が語源になっている。もともとは赤唐辛子をにんにくと固くなったパンの中身とともにすりつぶし、オリーブオイルを加えて混ぜ、魚のスープで溶きのばすが、今ではパンの代わりに卵黄やじゃがいもを使うなど様々な作り方がある。

Pistou(ピストゥ)
バジルとにんにくで作る、南仏プロヴァンス地方の薬味。スープに加えたり、魚や肉のソースに使ったりもできます。

Tapenade(タプナード)
ブラックオリーブをベースにして作る薬味。トーストしたパンに塗ったり、魚や肉料理に添えたり、生野菜に添えたりします。

【主要都市】
産業の中心はマルセイユ。フランス第二の都市。

【気候】
大陸性気候で寒暖の差が激しく、冬は非常に寒い。東部は降水量が少ない。

今回は料理から見るフランスの地方のお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

引用:基礎から学ぶフランス地方料理 ル・コルドン・ブルー 株式会社柴田書店 初版2010年9月30日

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