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フレンチ、イタリアン、スイス、メレンゲの種類と作り方について

マカロン、ムース、ガトーショコラ、ダックワーズ、、、、独特の食感を生み出すお菓子作りに欠かせないメレンゲ。フランス語では「Meringue(ムラング)」と言います。
1720年スイスのムランゲンという小さな町の菓子屋がメレンゲを発明し、ムランゲンがなまってムラングと呼ばれるようになったといわれています。

ルイ16世の王妃マリーアントワネットは、メレンゲを絞り出して乾燥焼きしたお菓子が大好きで、自らボウルと泡立て器を持って、汗をかきながらメレンゲ作りをしていたとか。今でこそハンドミキサーでささっとできてしまいますが、きめの細かいメレンゲを手で立てるのは(もちろん量によりますが)なかなかの重労働。それを王妃自らしてしまうとは、よほど気に入っていたことがうかがえるエピソードです。

今回はそんなメレンゲについてのお話と、個人的に気になったスイスメレンゲの考察についてのお話です。

目次
・メレンゲの種類と作り方
・違いと使い分け
・【検証】スイスメレンゲ、砂糖の量による仕上がりの違い
・スイスメレンゲの使い分け
・メレンゲを使ったフランスの定番のスイーツ~ウッフ・ア・ラ・ネージュ
・【動画】スイスメレンゲの作り方&絞り出し袋の使い方

|メレンゲの種類と作り方

一般的に料理やお菓子で使われるメレンゲはこちらの3種類です。

フレンチメレンゲ
「ムラング・フランセーズ(ムラング・オルディネール)」とも呼ばれます。
卵白に砂糖を数回に分けて加えて泡立てたもの。冷たい状態の方が泡立ちにくさはありますが、きめ細かいメレンゲができます。
一般的にメレンゲというとこのフレンチメレンゲを想像される方が多いと思います。卵白が生の状態なので、ビスキュイやガトーショコラなどの焼く工程のあるお菓子に使⽤される事が多いです。
加熱して作るイタリアンメレンゲ、スイスメレンゲに比べると気泡が弱いですが、乾燥卵白やクレームタータ(ケレモル、DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム)などを加えることで気泡を安定化させることができます。


イタリアンメレンゲ
「ムラング・イタリエンヌ」とも呼ばれます。
約120℃に加熱したシロップを卵白に加えながら泡立てたもの。
フレンチメレンゲと比べて気泡が安定していることに加え、熱したシロップを加えていることで滅菌の効果があることから、ババロア、ムース、シャーベットなどの加熱しない氷菓、バタークリーム、デコレーションに使われます。

※滅菌についての意見は諸説あります。


スイスメレンゲ
「ムラング・スイス」、「ボイルメレンゲ」とも呼ばれます。
卵白に砂糖を溶かし、湯煎で50℃ほどに温めてから泡立てたもの。温めることで砂糖が溶け、シロップを加えて泡立てるのに近い状態になるため、粘りやこしが強い、きめ細かくつやのあるメレンゲができます。冷菓やメレンゲクッキー、デコレーションなどに使われます。

|違いと使い分け

気泡の安定度、保形力、保存性で見ると、イタリアンメレンゲはほかの2つに比べるとメリットが多いですが、イタリアンメレンゲの作業工程を考えると、お菓子によってフレンチ、イタリアンと使い分けるのがよさそうです。

だったらフレンチとイタリアンだけでいいじゃない。じゃあなぜスイスがあるの?
と最初思っていたのですが、実際使ってみるとスイスメレンゲもよいのでは?と感じました。

1、作りやすい
最初に卵白と砂糖を合わせてしまうので、フレンチメレンゲのように何回かに分けて砂糖を加えなくてもよい(レシピによってはフレンチメレンゲでも1度にすべて加えるものもあるようですが)。イタリアンメレンゲのようにシロップを作って少しづつ卵白と合わせる手間がない。といった作業性の良さがあります。

2、泡のきめが細かく、安定性がある
粘りが強いので、ボリュームはフレンチメレンゲより控えめですが、時間が経っても状態が安定しているので、慌てて作業する必要がありません。また、フレンチメレンゲと比べて離水しにくいのも特徴です(卵白と同量~倍量の砂糖で作った場合の比較です)。イタリアンメレンゲと比べると水を使わないので、気泡が細かくより粘りのある仕上がりになります。

|【検証】スイスメレンゲ、砂糖の量による仕上がりの違い

今回は、よく話題に上るフレンチ、イタリアンではなく、個人的に気になったスイスメレンゲについて。砂糖の量が変わると仕上がりがどう違ってくるかを検証してみました。

比べたのはこの3パターン

A 卵白1:グラニュー糖0.5
B 卵白1:グラニュー糖1
C 卵白1:グラニュー糖2

A 卵白1:グラニュー糖0.5
泡立ちは一番早い。ボリュームはあるがきめが粗く、軽い。安定性がなくすぐもろもろする。離水しやすい。

B 卵白1:グラニュー糖1
Aと比べるとボリュームはあまりない。つやがあり粘りは程よい(フレンチメレンゲより強い印象)。角がすっと立ち、きれいに切れる。

C 卵白1:グラニュー糖2
ボリュームは一番ない。表面が滑らかで一番つやがあり粘りが強い。重い。きめが細かい。

仕上がったものを並べるとこうなりました。

|スイスメレンゲの使い分け

メレンゲクッキーなど、絞ったときにすっと切れた方がいいものはB。マカロンのように気泡が細かく泡が安定していた方がいい場合はC。Aは気泡が粗く弱いですが、茹でて提供するウッフ・ア・ラ・ネージュのようなお菓子であれば、フワっシュワっという食感になってよいかもしれません(一般的にはフレンチメレンゲで作りますが)。

|メレンゲを使ったフランスの定番のスイーツ~ウッフ・ア・ラ・ネージュ

ウッフ・ア・ラ・ネージュ(Œufs à la neige)は、固く泡立てたメレンゲを茹で、アングレーズソース(カスタードソース)に浮かべてカラメルをかけていただくフランスらしいデザートです。「neige(ネージュ)」はフランス語で雪を意味し、卵白を泡立てた状態を表すときにも使う言葉。「泡雪卵」と訳されることも。
ちなみに、写真のようなメレンゲを一つだけ浮かべたものは「Iles flottantes(イル・フロタント=浮島)」と呼ばれます。

|【動画】スイスメレンゲの作り方&絞り出し袋の使い方

※BGMがありますので、再生時にはご注意ください。




今回はスイスメレンゲについてと個人的な考察のお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


参考:食卓のエスプリ フランス料理の本 デザート 講談社 2024.8.14

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