
鶏肉の皮をパリッと焼けた……と思ったのに、お皿に盛り付けるころには「しなしな」に。
そんな経験、ありませんか?
シンプルに見えて、実は奥が深いのが「鶏肉のソテー」。
今回は、皮はパリッと香ばしく、身は驚くほどしっとりジューシーに。
そんな理想の焼き上がりを叶える、ちょっとしたコツをご紹介します!
目次
・なぜ鶏の皮がしんなりしてしまうのか?~水分とコラーゲンの関係
・パリッと焼き上げるコツ①~焼く前に「皮をしっかり乾かす」
・パリッと焼き上げるコツ②~焼き上がった後の「蒸気逃がし」
・【実践】皮を効率よく乾燥させるには?〜冷蔵庫を活用した「おうち熟成」のススメ〜
・実際に焼いてみましょう!〜プロの火入れ「8:2の法則」で失敗知らず〜
・【動画】鶏肉の焼き方〜一連の流れを動画でチェック〜
・理想のソテーは「ちょっとしたコツ」で決まる
|なぜ鶏の皮がしんなりしてしまうのか?~水分とコラーゲンの関係
鶏の皮には、脂肪とコラーゲンが豊富に含まれています。
焼き始めると、まず表面の水分が蒸発し、次に溶け出した脂で「揚げ焼き」の状態になるため、皮はパリッと香ばしく仕上がります。しかし、このとき皮の内部にあるコラーゲンは、加熱によって「ゼラチン」へと変化しています。
焼き上がった後、お皿に盛られた鶏肉の内部(身)からは、余熱によって水分(肉汁)が蒸気となって出てきます。パリッとしたはずの皮が、この「内側からの蒸気」をゼラチンがスポンジのように吸収してしまうこと、そしてお皿との接地した隙間に蒸気がこもって「蒸された状態」になることが、しなしなに戻ってしまう主な原因です。
加熱によるコラーゲンの変化
40〜50℃:収縮して水分を押し出す
コラーゲンが収縮し、肉の繊維を締め付けることで内部の水分を外へ押し出します。これが、加熱しすぎると肉が硬くパサつく原因の一つです。
60〜70℃以上:ゼラチン化して水分を抱え込む
さらに加熱を続けると、コラーゲンの構造が壊れて「ゼラチン」に変わります。ゼラチンは水分を抱え込む性質が強いため、煮込み料理では「とろとろ」の食感を生みますが、ソテーにおいては皮のパリパリ感を損なう要因にもなるのです。
|パリッと焼き上げるコツ①~焼く前に「皮をしっかり乾かす」
皮の食感を左右するゼラチン化。
これを防ぐ一番かんたんな方法は、「焼く前に皮をしっかり乾燥させておくこと」です。
あらかじめ水分を抜いておくと、こんな嬉しい効果があります。
①表面に「パリパリのバリア」ができる
皮が乾いていると、フライパンに入れた瞬間に温度がパッと上がります。すると表面がすぐに焼き固まって「乾いた膜」のようになるので、水分を吸収しにくい状態になります。
②自分の「脂」が守ってくれる
表面温度が素早く上がることで、皮の脂がジュワッと溶け出します。この脂が皮の表面をコーティングしてくれるので、ゼラチンが水分を吸ってプルプルに戻ってしまうのを防いでくれます。
|パリッと焼き上げるコツ②~焼き上がった後の「蒸気逃がし」
お肉をしっとり仕上げるために「余熱」で休ませる工程は大切ですが、実はこのときに出る「蒸気」がしなしなの原因に。最後まで油断せず、蒸気をコントロールしましょう!
①蒸気の「逃げ道」を作ってあげる
・網の上で休ませる: お皿に直接置くと、底に蒸気がたまって皮を蒸してしまいます。皮を上にして、網の上で休ませてあげましょう。
・アルミホイルは「ふんわり」: 冷めないようにホイルを被せるときは、密閉せずに隙間を作ってください。蒸気をほどよく逃がすのがポイントです。
②仕上げの「二度焼き」で完璧!
盛り付ける直前に、もう一度だけ皮目を下にして強火でサッと(10〜20秒くらい)焼いてみてください。余熱で浮き出てきた水分が飛んで、驚くほどパリパリ感が復活します。
|【実践】皮を効率よく乾燥させるには?〜冷蔵庫を活用した「おうち熟成」のススメ〜

ご家庭で一番おすすめしたいのが、冷蔵庫を活用した乾燥方法です。
最近レストランのメニューでもよく見かける「熟成(エイジング)」を、おうちで手軽に再現するようなイメージですね。
実は、冷蔵庫の中はとっても乾燥している場所。
冷気にそっと当てるだけで、皮の余分な水分が抜けて、驚くほどさらっとした状態になるんです。これだけで、焼き上がりの香ばしさとパリパリ感が劇的にアップします!
さらに嬉しいおまけも。
皮だけでなく身の水分もほどよく抜けるので、鶏肉本来の旨みがギュギュッと凝縮されて、お肉そのものの味が一段と濃くなります。
やり方は、驚くほどシンプルです。

バットに網をのせ、鶏肉の皮目を上にして置きます。
ラップをかけずに、そのまま冷蔵庫に入れて一晩(または数時間)おくだけ!

取り出したとき、皮が少し身に張り付いたような感じで、触るとさらさらしていれば準備完了。このひと手間で、理想の「パリッ・じゅわっ」なソテーに一歩近づきます。
前日の晩や当日の朝にサッと準備しておけば、忙しい夕食の時間に慌てて準備する必要もなく、
ゆとりを持って「最高に美味しい状態」を待つことができます。
「今日すぐに食べたい!」という時でも大丈夫。
お肉を買ってきたら、まずはパックから出して冷蔵庫へ。
30分〜1時間ほど冷気に当てるだけでも、焼き上がりのパリパリ感に差が出ます。
この「ついで」のひと工夫が、いつもの鶏肉を最高のご褒美ソテーに変えてくれるはずですよ。
|実際に焼いてみましょう! 〜プロの火入れ「8:2の法則」で失敗知らず〜

1.フライパンを温める
フライパンにオリーブオイルを入れて、中火でじっくり温めます。

2.皮目から焼き始める
鶏肉の皮目を下にして並べます。
焼き始めに、皮が浮きやすい「ひざ」のあたりを軽く押さえてあげると、ムラなくきれいな焼き色が付きます。

ここでアルミホイルを「ふんわり」被せるのがポイント!
☆反射する熱(輻射熱)で身側にも効率よく火が通るため、時短になります。油跳ねも防げるので、後片付けもぐっと楽に!
☆完全に密閉すると蒸気がこもって皮がふやけてしまいます。少し隙間を開けて、蒸気を逃がしながら焼いていきましょう。

3.「8:2」の法則でひっくり返す
鶏肉の側面を見て、下から白く色が変わってきたらチェック。上から見て「焼けて白くなった部分」と「生のピンク色の部分」が8:2くらいになったら裏返します。

身側は30秒〜1分ほど、サッと火を通せばOKです。

4.網の上で「余熱」を活用する
焼き上がったら、網をのせたバットに取り出します。
☆火入れの黄金比
皮目8割:身側1割:余熱1割。お皿に出す瞬間に「ちょうど10割」の火が入っている状態を目指すと、焼きすぎを防いでしっとり仕上がります。

5.休ませて、旨みを閉じ込める
アルミホイルをふんわり被せ、温かい場所で5分ほど休ませます。
☆休ませる理由
余熱で中心まで火を通すのと同時に、お肉の水分(肉汁)を落ち着かせるためです。

余熱でさらに火が入り、バットに鶏肉の水分が出ています。
☆この後に皮目だけをさっと焼くと、表面に浮いてきた余分な水分が飛び、さらにパリッとした食感になります。
ここでプロの仕上げ!
休ませた後、盛り付ける直前に皮目だけをもう一度サッと焼くと、表面に浮いたわずかな水分が飛び、パリパリ感がさらに際立ちます。

6.皮がずれないよう、皮目を下にしてカットします。

切り口から肉汁が溢れるジューシーな身と、黄金色のパリパリな皮。
理想のソテーの完成です!
※焼き方の詳しい流れは、次の【動画】鶏肉の焼き方でもご紹介しています。
|【動画】鶏肉の焼き方 〜一連の流れを動画でチェック〜
|理想のソテーは「ちょっとしたコツ」で決まる
鶏肉を美味しく焼き上げるのに、難しいテクニックは必要ありません。
・「水分」をしっかり抜くこと
・「皮目」からじっくり焼くこと
・「火の通り」を目で見て判断すること
この3つのポイントを意識するだけで、誰でも簡単にお店の味を再現できます。
ぜひ次のお買い物では鶏肉を選んで、
外はパリッと、中はふっくらジューシーな「感動の鶏肉のソテー」を体験してみてくださいね!
皆さんのごはん作りが、もっと楽しく、もっと美味しくなるヒントになればとっても嬉しいです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
Special Thanks♡
今回の焼き方は、人形町『イレール』の島田シェフに教えていただいたエッセンスを参考にしています。
家庭でもプロの味に近づける貴重な学びを、本当にありがとうございました。