
パエリアを作るときに「お米の炊け具合にムラがある」と感じたことはありませんか?
実はこれ、熱源ごとの特性や水分の扱い方がわかるとかなり防げるんです。
実際検証してみて違いをまとめましたので、炊けムラに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
・熱の伝わり方の違い
・水分の蒸発量の違い
・道具の口径と水分の蒸発量の関係
・炊けムラを防ぐ工夫
・仕上げの強火で整える
・まとめ
|熱の伝わり方の違い
熱の伝わり方=熱伝導は「どこから熱が入るか」で大きく変わります。
これが仕上がりの差につながります。
下の図のように、ガスは外側から中心へ、IHは中心から外側へ、オーブンは上下から加熱されるので、
熱の広がり方、強弱に自然と違いが出てきます。

ガス:炎が鍋底の外側からあたるので、外側が先に加熱されます。中心部には熱が届きにくく、外はやわらかいのに真ん中が硬い炊きあがりになりがち。
IH:コイルの真上(鍋底の中央)が強く加熱され、周囲への熱の伝熱が弱い。中心がやわらかく、外側が硬い炊きあがりになりがち。
オーブン:一定の温度で上下から加熱されるので、均一に火が入り炊けムラが少ない。専門店でもオーブンで調理するお店は多い。


|水分の蒸発量の違い

ガスやIHは、熱源との距離が近く鍋底が高温になりやすいため、オーブンに比べて水分が早く蒸発します。
一方、オーブンは庫内が密閉されているため、蒸発した水分が庫内にとどまり、ある程度の湿度が保たれます。そのため水分の蒸発がゆるやかになり、加熱中に水を足す必要もなく、安定して仕上がるというメリットがあります。
|道具の口径と水分の蒸発量の関係

また、水分の蒸発量は使う道具の口径によっても変わります。
フライパンのように平らで口径が広い場合は蒸発が多く、鍋のように深く口径が狭い場合は蒸発が少なくなります。
今回は口径の広いフライパンを前提に「途中で水分を足す」という表現をしましたが、口径が狭い鍋を使うと、同じ分量の水で炊いた場合に炊き上がり時点で水分が多く残ることがあります。
その場合は、最初から水分をやや控えめにして炊き、必要に応じて追加するのが失敗しにくい方法です。
| 炊けムラを防ぐ工夫

ガスやIHの場合は特に、途中で全体を混ぜると炊けムラが抑えられます。
その際、火が弱い部分から強い部分に材料を少し寄せるのもコツです。
また、水分の減り具合を見ながらお湯を足すのも大切な作業。その際は鍋の温度が下がらないように熱湯を使いましょう。出汁を足してしまうと味が濃くなり、全体のバランスが崩れるので注意してください。
|仕上げの強火で整える

どの方法でも、炊き上がった後に中火〜強火で1分ほど鍋底を加熱して水分を飛ばします。
水分がなくなってくると「パチパチ」という音がして、香ばしい香りが立ってきます。これが仕上げの合図。
そのタイミングで火を止め、蓋をして10分ほど蒸らすことで、全体に熱と水分が行きわたり、炊けムラがなくなります。あくまで火通りの調節のためなので、焦げ付かないように注意してください。
パエリアの醍醐味であるおこげ「Socarrat(ソカラット)」はこの後に強火にかけ、お好みの加減につけてくださ。
|まとめ
パエリアの炊けムラは「火の伝わり方」と「水分の蒸発」が大きな要因です。
熱源の特徴を理解し、ちょっとした工夫を加えることで、より均一で美味しいパエリアに仕上げることができます。
炊き込みご飯とは異なる、本格的なパエリアの魅力をぜひご自宅でも味わってみてください。
今回は、パエリアの炊けムラを検証してみた結果をご紹介しました。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!