冬の食卓に欠かせないお料理と言えばグラタン。
香ばしいチーズの香りと食欲をそそる焼き色、トロッとしたホワイトソースの優しい甘み。
一口食べれば体が温まり、気持ちがほっとするお料理ですよね。
子供の頃母が作ってくれたグラタンは、受け皿と蓋のついた器に入っていて、蓋を開けたときのチーズの香りやぐつぐつという音が子供心にとってもワクワクしたものです。あの器まだあるのかなぁ。
フランス料理ではホワイトソースのことを「ソース・ベシャメル(sauce béchamel)」と呼びます。
名前の由来は諸説あるようですが、一説にはルイ14世の給仕担当者だったマルキス・ド・ベシャメイユ侯爵が考案したと言われています。
教室で何回かホワイトソースのレッスンをさせていただきましたが、みなさんからよく聞くのが「ダマになる」というお悩み。今回はソース・ベシャメルの作り方とダマにならないためのコツについてご紹介したいと思います。
目次
・ホワイトソースのコツ
・常備するならルーを
・ホワイトソースの味付け
・ホワイトソースの材料
・ホワイトソースを作らずにグラタンを作るには
・ダマになったら
・【動画】ホワイトソースの作り方
|ホワイトソースのコツ
ホワイトソースを作る工程は
①ルーを作る
②牛乳となじませる
の2工程。
まず①の「ルーを作る」ためには、
『バターを溶かす→薄力粉を加えてなじませる→バターの水分がなくなるまで炒める』
の3つの段階があります。
バターには油分、水分、タンパク質が含まれているので、溶けたバターに薄力粉を加えるとバターの水分と薄力粉とが結びついて粘りのある状態になります。そのまま火にかけて炒め続けると徐々に水分が飛び、最終的には油分と薄力粉だけが残り、油分となじめない薄力粉は油の中に細かく散らばってつやのあるサラサラの液体状になります。
炒め初めは粘りがあるので混ぜたときに抵抗がありますが、炒め続けるとすっと軽くなる瞬間があります。そのタイミングがルーの出来上がりの目安です。
次は②の「牛乳となじませる」ですが、この時の牛乳はバターが固まらない程度に温めておきます。
温めた牛乳を一気に加えてなじませる(泡立て器でまぜるのがおすすめ)と、細かく散らばった薄力粉がすぐ牛乳(水分)と結びつくのでダマのない状態になります。
この状態になればもう大丈夫。あとは牛乳と薄力粉を加熱して粘りのある状態に炊き上げればOK。ちなみに、粉と水分がつながってしっかり炊けたホワイトソースは、冷えた後にバットやラップに張り付きません。
今回の記事を書くにあたっていろいろ調べてみたんですが、牛乳の温度について何度がいい、という解説をいくつか見ました。その温度とあまりよくないと書いてあった沸騰直前の温度で実際やってみましたが、どっちでもダマはできなかったので、ご紹介した作り方であれば牛乳の温度に神経質にならなくてもよさそうでした。
ただ、ルーと牛乳を合わせるときにお互いあつあつの状態で合わせてしまうと、吹きこぼれてしまうことがあるのでご注意を。
実は冷たい牛乳でもやりましたが、温めながら少しづつ牛乳を加えていけば時間はかかるもののこれでもダマにはなりませんでした。
結論ですが、
1)ルーはつやのあるさらっとした状態になるまで炒める
2)牛乳は温めておく
この2つさえ押さえておけば、ホワイトソースはダマにならないと思います。
|常備するならルーを
ホワイトソースは動画でもご紹介している通り冷凍も可能ですが、保存場所を取る、解凍した時に水分量や炊き加減によっては離水したような状態になる、といったことがあります。
一方ルーは、コンパクトに保存することができ、炒めることでバターの水分を飛ばして小麦粉にも火を通しているので日持ちがよく、温めた牛乳に溶かすだけで簡単にホワイトソースを作ることができます。ですので、もし作るのであればルーを作っておくのがおすすめです。ホワイトソースを作る以外にも、カレー、シチューのとろみづけにも使えるので便利です。
※離水したような状態になったときには、混ぜながら温めなおすと元に戻ります。
|ホワイトソースの味付け
ホワイトソースは多くの料理でチーズや旨味のあるほかの食材と合わせていくので、味付けは塩、こしょう、ナツメグのみで十分。逆にコンソメなどで味をつけてしまうと、お料理の味が濃くなってしまいます。
出来上がったホワイトソースの味付けは少し物足りないくらいにしておき、最終的な味を調節するタイミングはほかの食材と合わせた後にすると、味付けの失敗を防ぐことができます。
|ホワイトソースの材料
ホワイトソースの材料は、バター、薄力粉、牛乳のみ。
材料が少ないほど素材の良し悪しが仕上がりにはっきり出ます。風味の良いホワイトソースを作るためには、できるだけ牛乳はコクのあるものを、バターも風味の良いものを、塩も旨味を感じるものをぜひ使ってみてください。
|ホワイトソースを作らずにグラタンを作るには
ホワイトソース自体を作るのが面倒、というとき。お料理によっては調理の流れで作ることもできます。
例えばグラタンを作る際は、具をバターで炒めた後、薄力粉を加えて粉っぽさがなくなるまで炒めてなじませます(具の水分があるので粉がなじみやすいです)。そこに牛乳(温かくても冷たくても構いません)を少しづつ加えて伸ばしていきます。こうすればルーを別に作らなくても簡単にグラタンが作れます。
|ダマになったら
万一ダマができてしまったら、ということでミキサ―にかける方法も紹介されていますが、ソースに粘りがあるので後片付けがちょっと面倒なのが難点かもしれません。個人的には、ザルで濾せば問題なく使える状態になると思いますので、まずはザル濾しをおすすめします。
|【動画】ホワイトソースの作り方
※動画の分量はグラタン用の分量になります。お料理に合わせて濃度を調節してお作りください。
※分量の塩はあくまで目安です。ほかの食材の塩分もあるので、分量よりも控えめにすることをおすすめします。
今回はだまにならないソース・ベシャメルのお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!