
料理の最中に「なすがどんどん油を吸って、フライパンの油がすぐなくなる!」と感じたことはありませんか?
なすは「油を吸いやすい野菜」として知られていますが、なぜそうなるのか、吸う油を少しでも減らす方法はあるのか。今回はそんなことをテーマに、家庭できる下処理を実際に試して比較してみることにしました。
目次
・なぜなすは油を吸うのか?
・実際に検証してみました
・実際にやってみた結果
・料理×下処理の相性
・冷めるときの油の吸い込みへの対策
・まとめ
|なぜなすは油を吸うのか?
そもそもなすが油をよく吸うのには、いくつかの理由があります。
1. スポンジのような構造
なすの果肉は細胞と細胞の間に隙間が多く、水分もたっぷり含んでいます。加熱すると水分が出ていき、その空いた空間に油が入り込みやすくなるため、スポンジが水を吸うように油をぐんぐん吸ってしまいます。
2. 水分との「置き換え」
揚げたり炒めたりしているとき、なすの中からは水蒸気が勢いよく出ていきます。その跡に油が流れ込んでくる、いわば「水と油の交換」が起きているのです。だからこそ、あらかじめ塩をして水分を抜いておくと、その置き換えの量が減り、油の吸収も抑えられると考えられます。
3. 冷めるときの「吸い戻し」
実は、油を吸うのは火にかけている最中だけではありません。揚げ物や炒め物を火から外したあと、冷めていく段階で、なすの内部の温度が下がると圧力も下がり、表面に残っている油をさらに吸い込みます。これを「クーリングフェーズ」と呼ぶ研究もあります。調理後すぐに油を切ったり、表面を軽くペーパーで押さえるのは、この冷却時の吸油を減らすためでもあります。
|実際に検証してみました
なぜなすは油を吸うのか?という理由に基づいて、家庭でもできるいくつかの下処理を比較してみました。今回試したのはこの5つです。
①そのまま
②塩水に漬ける(20分後に水気をペーパーで取る) ※塩水の濃度は4%
③塩を振る(20分後に水気をペーパーで取る) ※塩は重量の1%
④片栗粉をまぶす
⑤薄力粉をまぶす

大さじ2杯のサラダ油を中火で熱したフライパンで、片面2~3分づつ焼きました。

取り出した後はキッチンペーパーで油を取り、3の冷める間に油が吸収されるのを防ぎます。

|実際にやってみた結果
取り出すとなすから出た油がペーパーににじんでいました。
こう見ると、①そのまま、⑤薄力粉が他と比べて油が多く出ているようでした。

ペーパーを変えてしばらくするとこんな感じに。
③塩を振る、④片栗粉の油が少なく見えます。

実際食べてみると、
①そのまま:油を一番感じる。中はトロっと柔らかいが、後味に油っぽさが残る。(✖)
②塩水に漬ける:油っぽさはなく、中はジューシーで柔らかい。(◎)
③塩を振る:油っぽさはなく、中はジューシー。最も食感がしっかりしている。(◎)
④片栗粉:表面にしっかり壁ができ、吸った油はペーパーで落とせる。油っぽさをほとんど感じず、食感は塩水に近くジューシー&柔らかい。(◎)
⑤薄力粉:表面は少し粉っぽさが残る。油っぽさは少ないが、食感は柔らかくトロっとしていて「そのまま」に似ている。(△)
といった結果に。
|料理×下処理の相性
今回検証してみて、②③④がベストな下処理だということがわかったところで、それぞれの下処理と料理との相性を考えてみました。
煮込み料理(ラタトゥイユ、カポナータなど)×③塩を振る
・食感がしっかり残り、煮込んでも崩れにくい。
・油っぽさも抑えられて後味が軽い。
・ラタトゥイユのように他の野菜と一緒に長めに煮込む料理に最適。
炒め物(マーボーナス、なす味噌炒めなど)×④片栗粉
・表面の粉が膜になって油の吸収を防ぎつつ、中はトロっとジューシー。
・形が崩れにくく、炒めても存在感がしっかり残る。
揚げ焼き・素揚げ(揚げびたし、天ぷらなど)×②塩水に漬ける or ④片栗粉
・塩水:柔らかくジューシーで、衣をつけずにそのまま揚げる時に向く。
・片栗粉:衣として吸油を抑えるので、油切れが良く軽い仕上がり。
グリル・ソテー(洋風の付け合わせなど)×②塩水に漬ける
・トロっと柔らかくジューシー。油を吸いすぎないので軽やか。
・型崩れが心配な煮込みより、短時間加熱の料理に合う。
|冷めるときの油の吸い込みへの対策
今回は加熱時の油の吸い込みを検証しましたが、冷めるときに吸われる油もいくつかの方法で防ぐことができます。家庭でできるおすすめの方法はこちら。
・油をしっかり取る
揚げ上がり直後に網やキッチンペーパーで油を切る。油が食材に戻りにくくなる。
・粉や衣を利用する
表面をコーティングすることで、冷めながら油が入り込む“通り道”をふさぐ効果がある。片栗粉や小麦粉、天ぷら衣など。今回検証した片栗粉、薄力粉にはその効果が感じられました。
|まとめ
今回は家庭でできる範囲で検証したあくまで個人的な感想ですが、下処理を工夫するだけで、ぐっと軽やかに仕上がったり、逆にジューシーさを強調できたりすることがわかりました。
ぜひご自宅でも試してみて、料理や好みに合わせて使い分けてみてください!
今回は、なすの油っぽさを抑える方法を検証してみた結果をご紹介しました。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!