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【動画あり】にんにくのみじん切り~香りと旨味を最大限に引き出す切り方

料理の香りを一瞬で変える魔法のような食材、にんにく。
その切り方や扱い方ひとつで、香りの出方や味わいは驚くほど変わります。
今回は、にんにくのさまざまな切り方と用途の中から、香りをしっかり生かす「みじん切り」の方法を丁寧にご紹介します。

目次
・にんにくの香りの秘密「アリシン」と切り方の関係
・生のにんにくのえぐみ、辛みが気になるときには
・にんにくのみじん切りの方法
 -【皮のむき方と芽の取り方】
 -【みじん切りの方法①つぶしてからみじん切りにする】
 -【みじん切りの方法②切り込みを入れてみじん切りにする】
・【動画】にんにくのみじん切り
・まとめ

|にんにくの香りの秘密「アリシン」と切り方の関係

にんにくの香りの正体は「アリシン」という成分です。
アリシンは、にんにくの細胞が壊れるときに発生します。
つまり、切る・刻む・すりおろすなど断面を増やすほどアリシンが多く生成され、香りも強くなります。また、アリシンは揮発性が高く、加熱時間が長いと香りがやわらぐため、香りを強く残したい場合は調理の最後に加えるのがコツです。

また、アリシンは香りだけでなく、抗菌作用や疲労回復を助ける効果があるともいわれています。
体調を崩しやすい季節の変わり目や、疲れがたまっているときの食事に取り入れるのもおすすめです。

切り方、形状ごとに香りの強さ、特徴や主な用途が変わりますのでまとめてみました。
ぜひお料理の参考にしてみてくださいね。

 切り方   香りの強さ特徴主な用途
塊のまま★☆☆☆☆香りはやさしく、煮汁やソースにコク、深みを与えるポトフ、煮込み料理、ロースト野菜の付け合わせ
つぶす★★☆☆☆香りをオイルに移しやすく、加熱途中で取り出せるオイルパスタ、煮込み料理の香りづけ
スライス★★★☆☆香りと見た目を両立、トッピングにも使いやすいペペロンチーノ、チャーハン、サラダの香味チップ
みじん切り★★★★☆香りを料理全体に均一に行き渡らせ、なめらかな舌ざわりにパスタソースのベース、野菜炒めの香りづけ
すりおろし★★★★★最も香りが強くなじみやすい
水分が出ているので油はね注意
ドレッシング、漬け込みダレ、火を使わないディップ

|生のにんにくのえぐみ、辛みが気になるときには

すりおろしたにんにくを生で使うと、辛みやえぐみが気になることがあります。
そんなときは、一度ゆでてから使うのがおすすめです。
水から火にかけ、沸騰したらにんにくに透明感が出て柔らかくなるまでゆでます。
その後、包丁でペースト状にし、繊維が気になる場合は軽くたたいてから使いましょう。

加熱することで生の状態より風味はマイルドになりますが、辛みやえぐみが和らぎ、料理に使いやすくなります。


にんにくの辛みや刺激のもとは「アリシン」という成分。このアリシンは細胞が壊れると生成されますが、加熱すると分解されて刺激が弱まり、香りもやさしく変化します。体調が気になるときや、にんにくの強い香りが苦手な方にも、ゆでてから使うのがおすすめです。

|にんにくのみじん切りの方法

【皮のむき方と芽の取り方】

1.根元に浅く切り込みを入れ、皮を少し残して切ります。

2.そのまま先端に向かって皮をおろします。

3.皮に裂け目ができるので、裂け目の部分の皮を包丁で起こして残りの皮をはがします。

4.芽の真ん中に包丁を入れて半分にします。

5.手で先端を起こして芽を取ります。

6.もしくは、包丁で根の部分に切り込みを入れて芽を起こして取ります。


みじん切りしたものに芽が残っていると、火を入れている間に芽の部分が先に焦げてしまうのであらかじめ取り除きます。

【みじん切りの方法①つぶしてからみじん切りにする】

1.木べらの平らな部分などを使ってにんにくを押しつぶして平らにします。

2.端から薄切りにしたあと、向きを90°変えて端から切っていきます。

3.大きさにむらがあるので、包丁で叩いて全体の大きさを整えます。

叩く際の包丁の持ち方・動かし方
叩く際には、包丁を持たない手の付け根をまな板に当て、包丁の先に近い峰(背の部分)の部分を指で抑えます。こうすると包丁がぐらつかず安定します。抑えたところを支点にして、包丁を左右に動かしながらみじん切りににします。切ったものが広がらず、まな板をきれいに使うことができます。

4.さらに細かくする場合は、包丁の腹(平らな面)を使ってにんにくをすりつぶす→叩くを繰り返します。


断面が滑らかになる「切る」と違って、「叩く」作業は繊維をつぶすため素材の水分が出やすくなります。出てきた水分には旨味も含まれているので、「叩く」作業はなるべく少なくして旨味の流出を抑えるのがみじん切りのポイントです。

【みじん切りの方法②切り込みを入れてみじん切りにする】

1.根の部分を奥にして置き、繊維に沿って切り込みを入れます。この時奥を切り落とさないように切り込みを入れます。

2.90°向きを変えて、まな板に平行に横に2か所ほど切り込みを入れます。この時包丁の切先から刃元まで大きく使って切るとばらばらになりにくいです。

3.小口からみじん切りにし、大きさにむらがあれば叩いて大きさを整えます。

|【動画】にんにくのみじん切り

|まとめ

にんにくは、切り方や扱い方で香りと旨味の出方が変わる繊細な食材です。
中でもみじん切りは、香りを均一に広げ、料理全体に深みを与えてくれます。
芽を丁寧に取り除き、粒をそろえて刻むことで、見た目も味わいも上品に。
ぜひ用途や仕上げたい香りの強さに合わせて切り方を選び、日々の料理に活かしてみてください。

今回はにんにくの切り方とお料理への活かし方のお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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