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食のSDGsを考えよう~SDGs週間が今年も始まります

最近耳にすることが増えた「SDGs」という言葉。
なんとなく地球や環境に良いことというのはわかるけど、具体的に自分たちにどんな関わりがあって何ができるのかよくわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、2024年9月20日~29日に行われるSDGs週間(Global Goals Week)を前に、身近な『SDGs』について、普段から意識すべきこと、できることを考えてみたいと思います。

※『SDGs』週間SDGsが採択された毎年9月25日を含む9月末の約1週間のことを言い、世界中でSDGsへの意識を高め行動を起こすきっかけとなるイベントが行われます。

目次
・『SDGs(エスディージーズ)』とは
・身近な『SDGs』~食品ロスについて
・食品ロスの原因と私たちができること
・消費期限と賞味期限
・外食でもできる食品ロス対策
・最後に

|『SDGs(エスディージーズ)』とは

SDGsとは『Sustainable Development Goals』の略で、日本語では『持続可能な開発目標』と訳されています。

2015年の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

引用:外務省HP JAPAN SDGs Action Platform https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

わかりやすく言うと
人々がこの地球で暮らし続けていくために達成すべき目標。
といった感じでしょうか。

地球、達成、目標という言葉が並ぶと、ちょっと大変なことのように感じられてしまいますが、実は私たち一人一人が普段の生活でできることもたくさんあります。

|身近な『SDGs』~食品ロスについて

今回は17あるゴールのうち『12.作る責任、使う責任』にあたる、私たちの生活に密接に関係している『食品ロス』についてご紹介します。

1、「 食品ロス」とは?

そもそも食品ロスとは、本来食べられるのに廃棄されているもののことを言います。

大きくスーパーや飲食店などから出る「事業系食品ロス」、一般家庭から出る「家庭系食品ロス」に分けられ、令和4年度推計で「事業系食品ロス」が236万t、「家庭系食品ロス」が236万t。合計約472万tとなっています。

引用:農林水産省ホームページ https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html

数字だとあまりピンとこないかもしれませんが、この量を国民1人当たりに換算すると、毎日お茶碗ほぼ1杯分(約103g)、年間38kgの食品を捨てていることになります。

特に日本は食料の約60%を輸入しているにも関わらず、その1/3が破棄されている計算。
実は日本は世界で最も食品ロスを出す国でもあります。

世界では飢餓に苦しみ、5歳前に亡くなる子供が年間1,090万人、子供の4人に1人が発達障害と言われています。日本人が無駄にしている食料で、飢餓に苦しむどれだけの命が救われるかをよく考え、大切な食料を無駄なくおいしく食べきることを考えないといけません。

2 、「食品ロス」の影響

食品ロスによって、本来活かされるべき食料が無駄になってしまっているだけでなく、その食料が生産、処理される段階でも資源の無駄、環境への影響があることを忘れてはいけません。

①地球温暖化の原因


食品が燃えるごみとして出され、焼却処理されるときや運搬されるときに温室効果ガスが発生します。特に水分を含む食品を焼却する際には、多くのエネルギーを必要とします。また、焼却したものの埋め立ても環境負荷につながっています。

※東京都のごみ処理の変遷と現状について
東京二十三区清掃一部事務組合 東京23区のごみ処理 ホームページ
https://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/shiro/nakattara/index.html

②資源やお金の無駄遣い


本来食べられるものを捨てるということは、食料を作り出すために使われた資源(水、飼料や肥料、土地代、労働力など)やお金を捨てることになります。同時に自身のお金を捨てていることにもなります。
食品ロスを減らすことはもちろんですが、やむを得ず廃棄する際にも水分をしっかり取る、乾かしてから廃棄する、コンポストなど活用して家庭から出すごみを減らすといったことも家庭でできる対策の一つです。
コンポストの購入に助成のある自治体もありますので、一度調べてみてはいかがでしょうか。

※品川区ホームページ 家庭用生ごみ処理機購入費助成制度
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kankyo/kankyo-gomi/gomi-shinsei/hpg000008238.html

|食品ロスの原因と私たちができること

ではなぜ食品のロスは出てしまうのでしょうか。
家庭での食品ロスの主な原因として挙げられるのが、こちらの3つです。

1、野菜の皮や茎など食べられるところまで切って捨ててしまう「過剰除去」

2、料理を作りすぎたりして残る「食べ残し」

2、未開封のまま食べずに捨ててしまう「直接廃棄」

この3つは普段のちょっとしたことで改善することが可能です。
買い物、調理の際にポイントを絞って、ご家庭でもできるアイデアをご紹介します。

【買い物時のポイント】

買い物前に冷蔵庫、ストックにある食材をチェックする
まず今あるものから作るものを考えて、足りないものをリストアップして買い物をすることで、余計な買い物、使いきれず無駄にする食品を減らせます。冷蔵庫の中を把握しやすいように適度に空間を作ることは、冷蔵庫の消費電力を抑える対策としても有効です。

使う分、食べられる量だけ買う
まとめ買いを避け、必要な分を買って食べきるようにすると、廃棄を減らすことができ、結果的に節約にもつながります。

【調理や保存のポイント】

食材を適切に保存する
食品は記載された保存方法に従って保存することで、鮮度を保つことができます。
野菜は購入してすぐに用途に分けて冷凍することで、冷蔵庫で保存するよりも鮮度を保つことができます。また冷凍する時点で作るものを決めておくことで、調理の負担が減り、無駄な買い物を減らすこともできます。

食材を上手に使いきる
キャベツやブロッコリーの芯、キャベツやレタスの外葉、根菜類の皮など、普段捨ててしまいがちな部分を、切り方や調理法を工夫して活用する。

食べきれる量を作る
体調や健康、家族の予定も配慮して、作る量を調整する。
余った料理は作った日付をつけて保存しておくと、食べる際の目安になります。

|消費期限と賞味期限

前出の食品ロスの円グラフにある「事業系食品ロス」、「家庭系」でないなら自分に関係ないと思っていませんか?
実は「事業系食品ロス」の内訳の一つ「食品小売業」の食品ロスは、私たちの食品の買い方にも原因があります。
例えば、すぐ使うのに賞味期限の長いものから商品をとってしまう。という行為がそうです。

多くの人は購入する際に賞味期限と消費期限を見ていると思いますが、この日付を目安に、ご自身が使うタイミングにあったものを購入することで、廃棄を減らすことができます。

また、消費期限と賞味期限は、対象となる食品、期限としている食品の状態が異なります。
間違えずに無駄なく使いきるように心がけましょう。

☆消費期限と賞味期限
時間経過による変化を、微生物試験(生菌数や増殖数)、理化学試験(濁り、粘り、酸性度)、官能試験(人の五感)などによって製造元が定めている期限を言います。食品の性質によって消費期限と賞味期限のいずれかが明記されています。

消費期限安全に食べられる期限」
期限を過ぎると、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴って安全性を欠く恐れがある。期限を過ぎたら食べない方がよい。(主に日持ちのしない食品、およそ5日以内)
例)弁当や総菜、生鮮食品など

賞味期限品質が変わらずにおいしく食べられる期限」
美味しく食べられる期限で、期限を過ぎても食べられなくなるわけではない。傷みにくい食品(乳製品、飲料、乾物、レトルト食品など)につきます。一度口を開けてしまったり、保存している環境がよくないと傷みやすいので、期限に関係なく早く食べましょう。
例)缶詰、スナック菓子など

|外食でもできる食品ロス対策

「食品小売業」以外にも、「事業系食品ロス」の中で私たちが大きくかかわっているものがあります。
それは「外食産業」の食品ロス。その多くは私たち利用者の食べ残しです。

第一に、食べたいものを頼むのではなく、食べられる量を頼むことが大切です。

最近では、食品ロス対策として持ち帰りを推奨しているお店もありますので、万一食べ残しがあったときにはお店の方に相談してみるのもよいかもしれません。

また、宴会など大人数で食事をする際などは「3010運動」をしてみるのもおすすめです。

3010運動とは、宴会が始まった最初の30分と、お開きまでの10分を料理を食べる時間にするという運動。ついつい話が盛り上がって食べることがおろそかにしてしまいがちな宴会の席ですが、この時間を設けることで楽しく食べ残しを減らすことができます。

|最後に

今回はSDGsの17の目標の一つ「12.作る責任、使う責任」についてご紹介しましたが、書かせていただいたのはできることのほんの一例です。

調べてみるとさまざまな考え方や取り組みがあります。
それができれば理想だけど、誰もがそれをできるわけではないよ、というようなこともあります。
世の中で言われていることができないとダメなのか?と言ったらそんなことは全然ありません。
大切なのは今の状況をよりよくすることです。

状況は人それぞれ違いますし、家族構成、お住まいの地域、お仕事によってもできることが変わってきます。まずは自分、自分のご家庭がどういう状況なのかを把握することが第一歩かと思います。

その上で何ができるのかを考えて、無理のない範囲ではじめてみるのはいかがでしょうか。
はじめたことが気が付いたら当たり前になって、すこしづつできることが増えていったら素敵ですね。
SDGs週間をきっかけに、どんなことができるかお子さんとお話されてみるのもいいかもしれませんね。


今回はSDGs週間を前に、食品ロスについてお話させていただきました。

『SDGs』って言葉は知ってるけど、
どんなことかよく知らなかった、
知っていたけど自分の生活にどう繋がるのかいまいちピンときていなかった、
自分がどんなことができるか知りたかった、
というみなさんのきっかけになればうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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