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鮮やかな色と香りで料理が華やかに!「延岡ひなたサフラン」

6月のフレンチ基礎レッスンでは、南フランスの街セートの名物料理「いかのセート風煮込み」をご紹介しました。旬のするめいかとトマトを使った、旨味たっぷりの煮込み料理です。

その付け合わせでご紹介したのが、宮崎県延岡市で作られている「延岡ひなたサフラン」を使った色鮮やかなサフランライス。

サフランは、地中海沿岸、トルコ、インドで栽培されていて、魚介料理との相性がよく、ブイヤベース、パエリアなどに欠かせません。

サフランというと、お料理に使うもの、というイメージがありますが、実はその歴史はとても古く、古代エジプトで生薬として利用されていたという記録があるそうです。

日本には、江戸時代に伝わったと言われていて、現在では大分県竹田市が国産サフランの8割を生産しています。

とはいえ、普段手に取るサフランはほぼ外国産。国産のサフランに出会うことは滅多にないと思います。

今回はそんな貴重な国産サフランのお話です。

目次
・高価な香辛料サフラン
・延岡ひなたサフランとの出会い
・延岡ひなたサフランができるまで
・どこで買えるの?

|高価な香辛料サフラン

サフランは、アヤメ科サフランの花の雌しべを乾燥させたもの。
雌しべは1輪から3本しか取れず、収穫は繊細な作業で人の手でしかできないため、大量生産が難しく、非常に高価なスパイスとして知られています。

なんと1gを収穫するのに数百本の花が必要だそうです。
高価な理由もよくわかります。

イタリアのミラノ風リゾットにもサフランが使われますが、経済・金融の中心として栄えたミラノを象徴する色として、高価なサフランの黄金色が好まれたのかもしれませんね。

|延岡ひなたサフランとの出会い

今回ご紹介する「延岡ひなたサフラン」と出会ったのは、今年の初めに開催されたACCI  Gustoで。立ち寄った延岡市のブースで、サフランの開発に携わった九州保険福祉大学(現九州医療科学大学)の渥美准教授とお会いしたのがきっかけでした。

※ACCI Gusto(https://www.a-c-c-i.com/gusto
日本で初めてイタリア食品、農産加工物分野を取り扱った展示会。日本イタリア料理協会がイタリア料理の普及、流通を目的に開催している。

会場では、サフラン水を試飲させていただき、色の鮮やかさと香りの高さにびっくり。
輸入のものとは明らかに違う品質に感激しました。そして高品質にもかかわらず、良心的なお値段にも感激。

実は延岡市のサフランは、渥美准教授が国内最大の生産地である大分県竹田市に1年間通って生産方法を習得し、2013年に大学の植物園でサフランを栽培したことから始まったそうです。

延岡市に適した栽培方法や品質保持、消費者の手元に届くまでの品質低下の防止などの研究を行い、現在高品質なサフランの生産、供給を実現しています。

ちょっと珍しい缶のパッケージも、光に弱いサフランの性質を考えた品質保持のための特別なもの。

現在も、シェフやパティシエの方と協力して、サフランの研究を続けられているそうです。

延岡市と竹田市は車で大体1時間半くらいの距離です

|延岡ひなたサフランができるまで

サフランの収穫は11月中旬から12月上旬の約20日間の短い間。

稲刈り後の田んぼに、花が咲き終わって葉が伸びた球茎を植え付けると、球茎が徐々に栄養を蓄え、葉が枯れる5月頃に新しい球茎ができます。

この間、サフランの成長を妨げる雑草を管理しながら、生産してくださっているのが、地元の農家さんです。

新たな球茎ができたサフランは、土から取り出し管理された室内施設に移され、開花を待ちます。

開花と言っても、サフランは光に弱く、開花すると雌しべに花粉がついてしまうため、つぼみの状態で収穫するのが大切。
また、乾燥までに時間がかかると品質が低下してしまうため、収穫から雌しべの採取、不要な部分の切り分けなど細かい作業を手早く行う必要があります。

この繊細な作業をしているのが、福祉作業所の利用者の方々です。

多くの方の手で丁寧に管理、収穫されたサフランは、九州保健福祉大学の品質評価を受けて出荷されます。

こういった産福農の連携で、高品質なサフランが出来上がっています。

|どこで買えるの?

延岡ひなたサフランは、

九州築地(https://www.kyushu-tsukiji.co.jp/
のべちょる(https://www.nobechoru.jp/

で販売していますが、現在販売数に達してしまったため今年の収穫を待っている状態です。
再販時期などは、各サイトへお問合せください。


今回は貴重な国産サフラン「延岡ひなたサフラン」のお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

参考:株式会社ウチダ和漢薬HP https://www.uchidawakanyaku.co.jp/kampo/tamatebako/shoyaku.html?page=013 2024.7.21
写真:延岡ひなたサフランパンフレットより 延岡市農林水産部農業畜産課許諾の元使用させていただいております。

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