
フランス料理では、トマトは欠かせない食材のひとつ。
サラダとして生で食べることもありますが、加熱して使う場面も多くあります。
ソースのベースとして、煮込みに深みを与える、また冷たい前菜の器として——
そんなトマトを使う際、フランス料理で定番の下処理があるのをご存じでしょうか?
それが『湯むき』。
フランス語では『monder(モンデ)』といいます。
目次
・トマトの湯むきの目的
・トマトの湯むきの方法
・湯むき以外の方法とそのメリットデメリット
|トマトの湯むきの目的とコツ
トマトを湯むきする主な目的は、
『口当たりをよくするため』・『仕上がりに皮を残さないため』
皮をむくことで「なめらかで美しい仕上がり」になるので、
ソースやスープはもちろん、トマトを器にした冷製料理などにも活用できます。
その「なめらかで美しい仕上がり」にするための湯むきのコツが、
・トマトをしっかり冷やす
・短時間で皮に火を入れる
の2点です。
|トマトの湯むきの方法

1.へたのそばに斜めに浅く包丁を入れ、1周動かしてへたを取る。
☆皮を剥きやすくするためと、湯剥きした後だと滑ってへたを取りにくくなるので、この段階でへたを外しておきます。

☆このときへたの固い部分が少し残る程度に浅く包丁を入れます。深くえぐってしまうと、湯剥きの際に果肉にお湯が入って身が崩れやすくなってしまいます。

2.反対側に包丁の先を使って切り込みを入れます。
☆なるべく皮だけに包丁を入れるようにします。

☆火を入れる直前までトマトを冷やしておくと、湯剥きの際に熱が伝わりにくく、果肉がきれいに仕上がります。

3.しっかり沸騰したお湯を用意します。
☆トマトの皮に短時間で火を入れたいので、お湯は沸騰状態にしておきます。

4.冷えたトマトを入れて10秒加熱します。

5.反対側に入れた切り込みが少し広がったらすぐお湯から上げて冷やします。



6.十分冷えたら皮が開いた部分から包丁で皮を剥きます。


☆種を取るときは、横半分に切りスプーンの柄を使って取り出します。トマトの種を仕上がりに残したくない場合にこの作業をします。

☆使うスプーンは小さいものが作業がしやすいです。

☆取り出した種の部分には、トマトの旨味成分『グルタミン酸』がたっぷり含まれています。すぐ使わない場合は冷凍しておき、お味噌汁やスープに入れたり、カレーのベースになどにご活用ください。
|湯むきをおすすめする理由
実は、湯むき以外にもトマトの皮をむく方法はいくつかあるのですが、それぞれちょっとデメリットがあります。
①直火で炙る
⇒まんべんなく火を入れるのが難しい。長く火にかけると身が崩れて表面がきれいに仕上がらない。
②冷凍したトマトを水にさっとくぐらせる
⇒皮をむいた後、種まで取り除きたいときには完全に解凍しないといけない。生では使えない。
使い方によっては①、②でもよい場合もありますが、湯むきはスピーディかつきれいな仕上がりで、その後の作業もしやすく、加熱・非加熱どちらの料理にも対応できるため、教室では湯むきをおすすめしています。
今回はトマトの湯むきのお話でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!