普段料理に使うお酒、どんなものをお使いですか?
清酒、料理用清酒、料理酒といくつか種類がありますが、多くの方はこのいずれかをお使いかと思います。
みなさんどれもお酒と思っているかもしれませんが、買い物に行ってよく見ると、清酒、料理用清酒はお酒売り場、料理酒は食品売り場にあります。
そう、料理酒は「お酒」ではなく「食品」なんです。
お酒と呼ばれているのにお酒に分類されない料理酒ってなんでしょうか?
目次
・料理酒が生まれた背景
・清酒との違い
・料理酒の現状
|料理酒が生まれた背景
1980年代末まで、お酒を売っているのは町の酒屋さんでした。
というのも、お酒を売るには「酒類販売免許」というものが必要で、エリアや人口によって免許の発行枚数に制限があり、誰でも免許を取ってお酒を売れるわけではありませんでした。
ですので、必要であれば酒屋さんに買いに行く、もしくは酒屋さんに届けてもらっていたというわけです。
サザエさんでいう三河屋さんですね。サブちゃんのようなご用聞きの方が、注文を取って届けてくれるというのも懐かしい風景です。
一方、当時のスーパーは、食料品や日用品がまとめて買い物できる便利な場所でしたが、お酒だけは買えないというのが不便でした。
そういった状況で生まれたのがお酒に分類されない料理酒でした。
|清酒との違い
お酒を酒販免許のないお店で売るためには、お酒に分類されないように加工することが必要でした。
そのためにとられたのが「不可飲処置」という方法。
具体的には、食塩や酢酸等を加えることで、お酒として飲めない状態にするのです。
お酒として飲めない状態であれば、お酒でないと言えるわけです。
現在では、食塩を加えるのが主流で、製品には大体2〜3%(海水程度)の塩分濃度があります。
つまりしょっぱい。
また、料理酒には原材料の制限がないので、食塩以外に風味を補う材料が使われています。
原材料ラベルを見ていただくとわかりますが、お酒に分類される清酒は「米、米こうじ、醸造アルコール」で作られているのに対して、料理酒は「米、米こうじ、ぶどう果汁、食塩、酸味料、アルコール」など様々な原料が記載されています。
レシピを書く方によるので必ずしもそうでない場合もありますが、材料に「酒」と書かれている場合、多くが清酒を指しているので、料理酒を使ってしまうと塩味の強い仕上がりになってしまうことがあります。
レシピ通りに作っても美味しくならない、という時には、そのレシピで使っている「酒」と、自分が使っている「酒」が違うことが理由かもしれません。
|料理酒の現状
現在では規制が緩和され、お酒がさまざまな場所で購入できるようになりましたが、料理酒が今でも残っているのは、この当時から料理酒を利用している人が一定数いるからと言われています。
余談ですが、お米もお酒と同じように限られたところでしか買えないものでしたが、1990年代に許可制から登録制、のちに登録制から届出制になり、いまではコンビニなどでも購入できるようになりました。
買い物の風景の変化には、いろいろな背景があるんですね。
今回は料理酒のお話でした。
日々のお料理のご参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!