
ちょっと気合いを入れてお料理を作るときにバターを使ったら、火にかけているうちに黒いつぶつぶができて、焦げたようなにおいがしていた、なんて経験はありませんか。
せっかくのお料理に気になるにおいがついたり、見た目が悪くなってしまったらもったいないですよね。
こうした失敗を防ぐためにフランス料理で使われているのが、今回ご紹介する「澄ましバター」です。
フランス料理では「Beurre clarifié(ブール・クラリフィエ)」と呼ばれています。

茹でたアスパラガスやエッグベネディクトに添える「Sauce hollandaise(ソース・オランデーズ)」の材料として広く知られているほか、イタリア料理ではカツレツを揚げ焼きにする際にも使われます。
高温になっても焦げないため、カツレツの表面をきれいなきつね色に仕上げることができます。
今回は、バターの仕組みとこの澄ましバターの作り方についてご紹介したいと思います。
|バターが焦げる理由と澄ましバターの仕組み
バターは主に「乳脂肪(油分)」、「水分」、「乳たんぱく質(固形分)」の3つの成分で構成されています。

加熱してバターが溶けると、まず水分と油が反応し、パチパチとはぜるような音がしてきます。
さらに加熱を続け、水分が完全に蒸発すると、今度は油の温度が上がって「乳たんぱく質」が茶色く色づき始めます。(揚げ物をしているとき衣の色が変化していくのと同じ状態です)
バター特有の芳ばしい香りは、このたんぱく質の変化で生まれます。
特に、フランス料理で『Beurre noisette(ブールノワゼット)』と呼ばれる、ヘーゼルナッツのような色合いと香りになったバターは、フィナンシェを作るときには欠かせません。


ここからさらに加熱を続けると、たんぱく質が焦げてバターに苦味と焦げた香りが付いてしまいます。
こうなると、お料理にもお菓子にも使うのが難しくなります。
つまり、バターを焦がさないためには、焦げの原因となる「乳たんぱく質」をあらかじめ取り除いておけばよいということになります。
|澄ましバターの作り方
今回は50gのバターを使用した作り方をご紹介します。
仕上がりに大きな差はありませんが、失敗も少なく手軽にできる「湯煎」で作る方法がおすすめです。
①溶けやすいように小さく切り分けたバターをボウルに入れ、40℃前後の湯煎にあてて完全に溶かします。

②完全に溶けたら湯煎から外し、粗熱が取れるまでしばらく置いておきます。この段階が「溶かしバター」です。

③表面に泡が浮いていたら取り除きます。
※見やすいようにこの工程からガラスボウルに移しています。

※レンジで溶かす場合
600Wで1分~1分20秒ほど加熱してください(量によって時間は変わります)。加熱しすぎると庫内でバターが飛び散ることがありますので、溶け具合を見ながら少しづつ時間を延ばしてください。
※フライパンで溶かす場合
フライパンにバターを入れて弱火にかけ、溶けたらボウルに移します。
④しばらく静置すると、上に「透明な黄色の部分」と、底に「白く濁った部分」に分かれます。この上の部分が「澄ましバター」です。

|澄ましバターの取り出し方
調理の際、液体の状態のバターの上澄みをスプーンですくって使うこともできますが、ご家庭使うなら「一度冷蔵庫で冷やし固める方法」が簡単です。
2層に分かれた状態のバターを冷蔵庫で冷やし固めたら、澄ましバターを取り出し、バターについた白い部分と水気を取ります。ボウルの底に残った水分が、今回取り除きたい水分、乳たんぱく質になります。


このバターを再び溶かせば、「澄ましバター」の完成です。
出来上がりの分量は約40gと、元の分量の4/5程度になります。

|バターを保存するときのポイント

バターは光や空気に触れると酸化しやすく、また冷蔵庫内の他の食材のにおいを吸着しやすい性質があります。最後まで美味しく使い切るために、以下の点を意識して保存しましょう。
ポイント①
空気に触れさせない
バターは空気に触れると酸化しやすいため、ラップで隙間がないようにぴっちりと包みます。付属の銀紙があればその上からラップをしてください。
ポイント②
光を遮断する
光による劣化を防ぐため、付属の銀紙がない場合はラップの上からさらにアルミホイルで包みます。
ポイント③
におい移りを防ぐ
バターは冷蔵庫内の他の食材のにおいを吸着しやすいため、保存容器や保存袋(ジップロックなど)に入れて密閉します。
また、バターは冷凍保存も可能です。
冷凍庫は冷蔵庫に比べて雑菌が繁殖しにくく、より長期間品質を保つことができますので、たくさん買ってすぐに全部使いきれない時など、活用してみてくださいね。
今回は、澄ましバターのお話でした。
日々のお料理のご参考になりましたらうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!