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料理を楽しく、おいしくする「自分に合う包丁」の選び方

自分に合った道具を選んで使うことは、料理上手への第一歩。

特に包丁は料理をするときに欠かせない道具。
「切る」作業がスムーズになるだけで、今以上に料理がおいしく、楽になります。

今回は、これから料理を始める方にも、普段から料理をされている方にもきっと役に立つ、包丁の選び方のお話です。

|切るだけじゃない包丁の使い方

まず、包丁は「切る」道具と思っている方も多いと思いますが、実は部位ごとにさまざまな使い方があります。
使いこなすことで少ない道具でも効率的に作業することができるようになります。

肉を叩いたり、しょうがやごぼうの皮を薄くこそげたりするときなどに使う
切っ先トマトのへたを取る、表面の皮だけ切る、肉の筋切りなど細かい作業をするときに使う
刃先食材を切るときに使う
刃元食材を手に取って皮をむくなど、細かい作業をするときに使う
あごじゃがいもの芽を取るなど、くり抜く作業をするときに使う
にんにくやしょうが、ねぎを叩き潰すときに使う

|動かし方ひとつで包丁の切れ味は格段に変わる

包丁を使う時にまず知っておいていただきたいのは、包丁は「刃先から刃元まで全体を使ってスライドして使う」ということ。

スライドさせることで刃がスムーズに食材に入り、繊維をつぶさずきれいに切ることができます。
また、まな板に当たった時の刃の衝撃を減らし、切れ味を保つことにもつながります。

買ってすぐは刃先が鋭角なので、包丁を食材に当てただけでも刃が入ってしまいます。
そのため、ついつい上から落とす使い方をしがちですが、この切り方だと切り下ろした衝撃がすべて刃にかかるので、鋭角だった刃もどんどん丸くなり切れ味が落ちてしまうのです。

ボウリングの時、失敗してボールをドンと落とすのと、うまく投げられた時の床の衝撃の違いを想像してもらえるとわかりやすいかもしれません。

動かし方を確認するには、青ねぎを切ってみるのがおすすめ。

切る時にバラバラと飛び散ってしまうのは、上から押し潰して切っている証拠。逆にスライドさせるように切ると散らばりにくくなります。

|包丁の選び方のポイント

正しい動かし方がわかったら、次はいよいよ包丁選びです。

せっかくだからいい包丁を、と思う気持ちもあると思いますが、高い包丁が必ずしも自分に合った包丁とは限りません。

私が包丁を選ぶときにチェックしているのがこの4点。
普段ご自身がどう使っているのかを思い浮かべながら選ぶのが大切です。

①自宅のキッチンの広さ

あまり大きなものを選んでしまうと、置いたときに場所を取り、刃に触れてけがをするリスクが増えます。また、まな板の奥行きよりも刃の長い包丁を使うと、切ったものが包丁からこぼれてしまい、作業効率が悪くなります。
一般的には、小回りの利く18㎝前後の長さが使いやすいと言われていますが、大きい食材を切る機会が少ないという方は16cm前後でほとんどの作業がまかなえます。

②ハンドルは自分の手に合うサイズを

ハンドルの形や大きさはいろいろあり、それぞれに特徴がありますが、包丁を買う時にはまずしっかり握って、ハンドルの太さや形が自分の手になじむか確認しましょう。
ハンドルをきちんと握れると包丁をコントロールしやすくなるので、疲れにくくなります。

③自分の使い方に合った形か

ご家庭で使う包丁は、三徳包丁か牛刀が一般的。

三徳包丁(写真下)は日本の家庭で最も一般的な万能タイプの包丁。野菜から肉、魚まで幅広く対応します。
刃の平らな部分が長く、包丁を前に突き出す「押し切り」、包丁を手前に引く「引き切り」といった切るたびに包丁をまな板から離す切り方に向いています。

一方牛刀(写真上)は、シェフナイフとも呼ばれ、西洋料理でよく使われる包丁です。
「牛」と名前は付きますが、野菜から肉、魚まで幅広く使えるので西洋版三徳とも言えます。
刃が先に行くにつれて上向きにカーブしている包丁で、刃先をまな板に当てたまま、スライドさせて切るのが特徴です。三徳包丁に慣れた方が使うと切りづらく感じるのは、この動かし方の違いによるものです。

ご自身が普段どのタイプの包丁を使っているか、包丁をどう動かしているかによって、向いている包丁が変わってきます。

④疲れない重さのものを選ぶ

包丁を使うときには、腕と肩を引き上げる動作が伴います。
重さがあると力を入れなくても刃が入るので切りやすく感じますが、時間が経つと持ち上げるのが負担になってくることも。ご自身が負担にならない、扱いやすい重さのものを選ぶのも大切です。

|包丁の「硬度」と「お手入れ」の関係

包丁の素材には「硬さ」の指標があります。ここがお手入れの分かれ目です。

硬い包丁切れ味が鋭く、長く持続します。硬い=削れにくいので自宅で研ぐことが難しいことが多いです。無理にメンテナンスをすると刃が欠けてしまうので注意が必要です。
適度な硬さの包丁切れ味の持続性は硬いものに劣りますが、自宅でも研ぐことができるので常に切れる状態を保つことができます。メンテナンスできる方に適しています。

よくシャープナーでお手入れしているから大丈夫、という方がいらっしゃいますが、実はシャープナーでは買った時のような状態に包丁を戻すことはできません。

シャープナーは、刃の表面に細かな傷をつけて摩擦を増やし、切れ味を一時的に戻すためのもので刃をつけるものではないからです。

最終的には「研ぐ」必要が出てきますが、砥石を使ったお手入れには慣れが必要。
包丁の特性を知っていないと、研いだつもりが逆に切れなくなってしまうことも。

おススメなのはやっぱりメーカーに研ぎに出すこと。
包丁の構造を理解した上で研いでくれるので、新品同様の切れ味に戻すことができます。
お値段も千円程度~というところも多いです。

まずは「切れなくなったらプロに相談する」という選択肢も持っておきましょう。

ちなみに、我が家の包丁は硬度の高い(=硬い)包丁がほとんどなので、年1回を目安にメーカーさんに研いでいただいています。

|まな板の材質とメリット・デメリット

包丁の切れ味を保つためには、まな板選びも重要です。

まな板の材質には、主に木・樹脂(プラスチック)・合成ゴム・竹といったものがあり、それぞれにメリット・デメリットがありますので、包丁への負担、管理のしやすさなどで選ぶのがおススメです。

メリットデメリット
刃への負担が一番少なく、手も疲れにくい。カビや黒ずみが出やすいので使用後の乾燥が必須   
樹脂
(プラスチック)  
安価、食洗機なども使えるのでお手入れが楽硬いので刃への負担が大きい、色移りしやすい
合成ゴム木の柔らかさと樹脂の耐久性、お手入れのしやすさを兼ね備えている価格がやや高い
水切れがよく、抗菌性が高い硬いので刃への負担が大きい

|最後に

包丁は知れば知るほど奥深い世界です。
メーカーさんによって特徴があり、いろいろ話を聞いていると、結局どれがいいかわからなくなってしまうこともあります。

でも大切なのは、いいものを買うことではなく、ご自身が使いやすいものを買うこと。
今回のお話がその参考になったらうれしいです。

普段何気なく使っている包丁を、どんなところが使いやすいのか、使いにくいのか、改めて考えてみるのも面白いですよ。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

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