コラム Column

歌姫にささげられたデザート「ペーシュ・メルバ(Pêhce Melba)」

7月のフレンチ基礎レッスンでご紹介した桃のコンポート。

レッスンでは、プレーンヨーグルトを使ったソルベを添えましたが、お家で復習されたらぜひ作っていただきたいのが、こちらの「ペーシュ・メルバ(Peche Melba)」。

桃のコンポートの下にバニラアイスを忍ばせて、上からフランボワーズのソースをかけたデザートです。甘酸っぱいフランボワーズソース、桃の優しい甘み、バニラアイスの濃厚な甘さの三層構造で、とってもリッチな一皿に。

フランボワーズのソースが手に入らなければ、冷凍ベリーミックスをミキサーにかけて砂糖で好みの甘さに整えたもので代用可。バニラアイスは市販のものでOKなので、ご家庭でも簡単に作れます。

ちなみに今回のフランボワーズのソースは、富沢商店の冷凍ラ フルティエ ピューレ(ラズベリー)を今回使用しました。
商品ページ:https://tomiz.com/item/00522600

※フランボワーズ(仏)、ラズベリー(英)と呼び名が異なりますが同じものです。

このペーシュ・メルバは、19世紀末に一世を風靡したオーストラリア生まれのオペラ歌手ネリー・メルバ(1859~1931年)が、ロンドンのコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスで公演をした際、ロンドンのホテル「サヴォイ」で料理長を務めていたオーギュスト・エスコフィエ※1を招待したことから生まれました。

ロイヤルオペラハウス(ロンドン)

招待のお礼として、上演されたワーグナーの歌劇「ローエングリン」の一場面から着想を得て、氷で作った白鳥の翼の間にバニラアイス、桃、綿菓子を順に乗せた「ペーシュ・メルバ」という名のデザートを作り、メルバに贈りました。
自分の名前がついたこんな豪華で美しいお菓子に贈られたら、うれしくない女性はいませんよね。
メルバの喜ぶ顔が目に浮かびます。

※1 オーギュスト・エスコフィエ(Auguste Escoffier(1846~1935年))
フランス料理の歴史を語る上で欠かすことができない人物。
20世紀はじめに活躍した料理人で、彼が著した「LE GUIDE CULINAIRE(料理の手引き)」は、フランス料理を志す多くの人のバイブルとなっています。
13歳で叔父が経営するニースのレストランの見習いになり、19歳でパリへ。後にホテル王と呼ばれるセザール・リッツとの出会いがきっかけでロンドンへ渡り、「サヴォイ」、「カールトン」の料理長を歴任。多くの弟子を世界へ送り出したことでも有名です。



今回は桃のコンポートのアレンジデザートのご紹介でした。
日々のお料理の参考になりましたらうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


参考:食卓のエスプリ フランス料理の本⑤ デザート 講談社 2024.8.14

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